第67回法隆寺夏期大学(4)

 夏期大学も最終日を迎えました。今回も興味深い講座が多かったです。 夏期大学がきっかけでお知り合いになった方々と年一回の再会ができ、法隆寺に関わる色々なお話ができ、大変楽しい4日間でした。

 第7講は奈良大学名誉教授 東野(とうの)治之氏 「法隆寺壁画の模写と写真-桜井香雲と田中松太郎-」でした。
 桜井香雲による模写は近代的な意味での初めてのもので、明治17年7月から法隆寺金堂で作業を開始し、大壁四面、小壁八面、外陣小壁三面、内陣小壁四面の模写を行い、現在東京博物館の蔵品です。
  模写は原画の上に置いた和紙を上げて、原画を見て描き写す「上げ写し」の方法によるもので、便利堂の写真以前の壁画の状態が記録されており、大変貴重なものです。注目すべき点として以下を指摘されました。
 (1) 1号壁の中尊の優秀さ
 (2) 9号壁の剥落が大正期より少ない
 (3) 10号壁左脇侍の右手に欠損がない
 (4) 11号壁の普賢菩薩が乗る象の輪郭線がよく残っている
 (5) 6号壁中尊上半身が平板な描写に終わっており、何らかの事情で十分な作業が行えなかったか、本来の描写が差し替えられた可能性も考えるべき。
 
次に、東野治之氏は、大正7年に「法隆寺大鏡」として出版された、田中松太郎氏撮影の金堂壁画写真について述べられました。
昭和期ほど劣化が進んでいない状態の壁画が、熟練技術者による「コロタイプ印刷」によって残されていることを述べられました。図書館などで金堂壁画の写真をときどき見ますが、この講座で写真や模写にも色々な違いがあることを知り、今後壁画を見るときの良い参考になりました。 夏期大学初日の午後に、焼損壁画を収蔵庫で特別見学させて頂きましたが、壁画に描かれた絵には、インドのアジャンターから、中国敦煌などシルクロードを通じた西域文化の影響が色濃く残っており、まったく興味が尽きません。

第8講は浄土真宗本願寺派宗会議長 淺野弘毅氏「念佛って何?極楽浄土って何?」でした。
 夏期講座の最後は淺野弘毅氏により、親鸞上人が歎異抄で述べられた「極楽浄土」への道で締めくくられました。
 法隆寺には親鸞聖人が投宿し、因明を学んだという伝説があり「親鸞聖人御袈裟」が残っています。なかなか心のこもった淺野議長の講座で大変感銘を受けました。聖徳太子は仏教の教主として、今後も仏教会や多くの人々の尊敬を受けつづけると思います。今年も夏期大学初参加の方が多く感銘を受けた方が多かったようです。法隆寺夏期大学主催関係者に感謝申し上げます。

法隆寺
 中門は瓦の葺き替え中で、平成30年には修復工事が終了する見込みです。金堂と五重塔は世界最古の木造建築で、この美しい姿は世界の奇跡とも言えるでしょう。

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法隆寺放水
 夏期大学初日にドレンジャー放水訓練がされます。
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法起寺
 706年創建の三重塔(高さ23.9m)は日本最古の三重塔で、国宝に指定されており、世界遺産の構成建物です。正面から1重内部の心柱、四天柱、階段が見えます。 第一・三・五重の平面寸法が、法隆寺五重塔とほぼ同じで、飛鳥様式の雲斗も法隆寺の様式と似ています。 三重塔の姿を見て一様に、「いいですね!」、と感嘆の声を上げられる方が多いです。古いものは、良いものが多いですね。
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法起寺聖天堂
 現在の建物は寺僧の順光の発願により、江戸時代の1863年に建てられた三間四方、宝形造の建物で、金堂跡に東向きに建てられています。本尊は歓喜天像で円筒形の小さい厨子に安置されていますが秘仏で拝観できません。

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なお、法起寺南門から聖徳太子が黒駒に乗って飛鳥まで通われたという太子道が田畑を縫うように続いています。コスモスの咲く季節に訪問されると夕焼けがとてもきれいでカメラマンが詰めかけています。

中宮寺跡

 中宮寺跡が国史跡となり現在公園として整備中です。塔が南側に金堂が北側に一直線状に並ぶ、いわゆる四天王寺式伽藍配置であることが調査により分りました。現在は整備工事中で、礎石跡にレプリカが置かれているようです。かなりできてきましたので、まもなく史跡公園として公開されるものと思います。

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