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中国五台山の旅 その2(顕通寺)

円仁の五台山巡礼

 比叡山の高僧円仁は遣唐使(大使:藤原常嗣)の一行に請益僧として加えられる。

838年(承和5)7月2日: 中国揚州着、約9年間中国に滞在し、五台山巡礼、長安滞在、会昌の廃仏に遭遇。
847年(承和14)9月19日: 帰国し大宰府鴻臚館に入る。


840年(開成5)4月28日: 円仁五台山を遠望.
 五台山に近い清水河から五台山中台の台頂を遠望し、「地に伏して礼拝すると、不覚にも涙がこぼれ落ちた」、「この地こそ『清涼山』の金色に輝く世界であり、文殊菩薩が衆生のためにお姿を現わされたところである」と、円仁は記している。

840年5月1日:中国の名刹、竹林寺に入る。約半月間滞在し、修行する。

840年5月16日: 竹林寺を発ち五台山・大花厳寺(現、顕通寺)に入る。
 円仁一行は、5月16日早朝竹林寺出発し、大花厳寺(現、顕通寺)に到着し、庫裏に入り食事をとった。その後、涅槃院で法賢座主が楼上で、「摩訶止観」を講じているのを聴いた。40余人の天台宗の僧が聴講していたが、その中に天台座主の志遠和上の姿もあった。

 円仁は講義終了後、志遠の房を訪ねた。志遠は、日本国の最澄が天台山で法を求めたこと、陸淳が数百巻の経典を書写して、最澄に与えたことを話した。志遠は円仁に、日本国における天台宗の興隆のことを訪ねた。円仁は「南岳大師(天台宗の祖・慧思(えし)禅師)が日本で聖徳太子として転生し、仏法を広めた」と説くと、志遠と弟子たちは極めて喜んだと記している。

 円仁は、さらに般若院に文鍳(もんかん)座主を訪ねると、大変喜び「この寺に二座の講を開きて、天台の教えを弘伝す。遠国の僧が天台の教えを求めて此処に到るを感見するは、甚だ感応有る哉」と語った。

 円仁は翌日、「延暦寺の未決三十条」の質問状を携えて天台座主志遠和上のもとに出かけたが、天台山ではすでに留学僧の円載から書状を受け取り、すでに「決釈」を行ったので、円仁からの質問状は受取られなかった。

 5月20日から23日まで円仁は五台山の台頂寺院、中台、西台、北台、東台の巡礼に出かけた。巡礼を終え、大花厳寺にもどり、5月23日から連日、三十七日間に渡って天台の仏典を書写する。日本国に未だないもの合わせて三十七巻書写した。6月29日に天台の教迹を写し終わり、目録を作って、志遠和上に示して、法名を題せしむ。

なお、五台山大花厳寺で円仁が書写したものの中に、聖徳太子作の『勝鬘経義疏』を揚州法雲寺の僧明空が述釈した『勝鬘経疏義私抄』一巻がありました。円仁が持ち帰ったこの写本は、後に西大寺の叡尊が書写し、法隆寺に寄進しました。なお、円仁も入唐に際して、比叡山から天台山国清寺に贈る聖徳太子作の『法華経義疏』を携えてきました。

 最澄以来、比叡山の僧侶が、法隆寺の夏安居で講義を行っており、円仁も35歳にして法隆寺で法華経の講義を行っており、天台宗の歴史の中で、聖徳太子の三経義疏に対して格別の関心があったからであろう(佐伯有清「円仁」(文献(1))。

7月1日、円仁は約2か月間滞在した五台山を後にし、長安に向け大花厳寺を発つ。 円仁一行と別れを惜しむ人、見送る人多数。出発後、円仁一行は、竹林寺の前を過ぎて、南台の寺院を巡遊する。 五台山滞在中も円仁は、最澄と入唐した、霊仙三蔵(りょうせんさんぞう:興福寺法相宗の高僧)の事跡に特に留意して金閣寺などを巡拝する。

五台山・顕通(けんつう)寺
 顕通寺は、仏教伝来以来、後漢代に早々に建立された、五台山最初で最大の仏教寺院で、大孚霊鷲寺(だいふりょうじゅじ)と命名されました。北魏の孝文帝のときに増築され、寺名も数回変わりましたが、明代に現在の顕通寺に改名されました。円仁が滞在した唐代には大花厳寺と呼ばれ、規模も最大でありました。唐代には白亜の大舎利塔も、台懐霊鷲山の山頂にある菩薩頂も、顕通寺の一部であったようですが、明代に独立しました。円仁は顕通寺のいづれかの庫裏に滞在し、修行したのだと感慨深いものがありました。

山門(楼閣)
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顕通寺(中国重点史跡)
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ユネスコ世界遺産
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楼閣建築
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大顕通寺額(チベット系僧侶も巡礼)
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寺院建物が軒を連ねる. 後は菩薩頂
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顕通寺平面図
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顕通寺の説明
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大白塔は五台山の象徴
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顕通寺境内
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大文殊殿

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文殊師利菩薩像(獅子に騎乗)
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大雄寶殿

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銅殿
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智慧文殊

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無量殿
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菩薩頂
 菩薩頂は文殊菩薩の居所という伝承があり、仏教聖地として信者から崇められています。

本ブログ五台山関係過去の記事
(1)五台山への道
(2)菩薩頂
(3)顕通寺
(4)塔院寺


文献
(1)佐伯有清 「円仁」 吉川弘文館、平成元年(1989).






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