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斉明天皇の神まつりと吉野宮を体感する その3

 
宮滝 (奈良県吉野郡吉野町宮滝)

 比曽寺を出たバスは、吉野川に沿って走る国道169号線に乗り、まもなく、三角形の美しい形をした妹山、そのふもとにある大名持神社を過ぎて、さらに約6km走ると、風光明媚な宮滝に出ました。 学生の頃には吉野川の河原の岩に腰掛けて、喜佐谷からほとばしる象(きさ)の小川の「夢のわだ」を眺めながら、犬養先生の万葉の朗唱と歌の解説に聞き入りました。若かりし頃の犬養先生もきっとこの景色を学生たちに見せたかったに違いありません。

今回も、柴橋から川面を覗くと、藍も変わらず青と緑のエメラルドグリーンが白い岩や砂洲に映え、とても印象的でした。

宮滝 「夢のわだ」

「我が行きは 久(ひさ)にはあらじ 夢のわだ 瀬にはならずて 淵にもあらぬかも」
 大伴旅人 (巻三ー三三五)

『「夢のわだ」は、象(きさ)の小川が吉野川にそそぐ、大きな岩にかこまれた深淵のところといわれる。大伴旅人が大宰師となって九州に赴任したのは神亀5年(728)頃、梅の宴を催したのもその頃である。「他行(九州滞在)は長いことではあるまい。あこがれの夢のわだよ、浅瀬にはならないで、淵のままであってくれ」との心持ちである』(犬養孝著「万葉の旅(上)」p186、平凡社)。

夢のわだ、釣人も見える。
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 このような唯一無二の美しい風景を愛で、歌を詠み、船を浮かべて、宴などをするために、飛鳥浄御原の宮から宮滝へ、持統天皇が32回も来られたことに納得してしまいます。奥飛鳥から芋峠を越えるか、多武峰に出て鹿路峠を越えると、宮滝まではそんなに遠い距離ではありません。 最近では、宮滝で温泉が湧いたこともあり、持統天皇は湯に浸るために、唐の楊貴妃のように何回も行幸されたのではないかと言う説も飛び出す始末です。

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夢のわだ(大雨の時は谷川が激流になる)
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激(たぎ)つ河内

「山川も依りて仕ふる 神ながら 激つ河内に舟出せすかも」
柿本人麻呂(巻一ー三九)

吉野川両岸の絶壁にかかる柴橋から川面を見ると上流から激流が流れ来て、激つ河内に舟がこぎ出した様を想起する。今は、上流にダムができ川の流れは穏やかになっているが、柿本人麻呂の時代はたぎっていたに違いない。

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柴橋
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日本書紀に登場する吉野宮

1. 日本書紀には、応神天皇19年条に天皇が吉野に行幸し、国栖奏を奏上された記事が掲載されています。また、雄略天皇2年条、4年条にも天皇の行幸記事が見られます。 古来より吉野は神仙境とみなされ天皇が行幸される天皇家ゆかりの土地でした。

2. 斉明2年(656)には吉野宮造営記事が見られます。また、斉明5年(659)に、斉明天皇の行幸記事が掲載されています。
大海人皇子は天智10年(671年)に、剃髪後、大津宮を出て吉野宮に入ります。672年には挙兵し、壬申の乱が勃発します。
同年、大海人皇子は飛鳥浄御原の宮で即位し、天武天皇となります。

宮滝遺跡の発掘調査

 宮滝遺跡の第1次調査は末永雅雄氏によって昭和5〜13年(1930〜1938)に初めて行われました。この調査で宮滝遺跡は縄文時代、弥生時代から続く遺跡であることが分かり、昭和32年(1957)に国史跡に指定されました。その後、昭和50年(1975)から第2次調査が始まり、それ以来現在まで70次に渡って調査が続けられ、斉明、天武・持統、聖武朝の宮殿跡が次々と見つかっています。 宮滝の宮殿遺跡は、現在の所、飛鳥時代以降、4期に区分されます。

 第1期(7世紀中頃): 吉野資料館に近い宮滝遺跡中央部で、斉明朝の園地や建物跡が見つかっており、復元模型が資料館に 展示されています。

 第2期(7世紀後半から8世紀初): 天武・持統朝の吉野離宮跡は、斉明朝の遺跡範囲を包含し、さらに西に拡大し、大規模となっている。持統天皇は31回も行幸している。

 第3期(8世紀前半〜末):  奈良時代に、聖武天皇が行幸した吉野離宮跡で、芳野監の役所があったとされる場所。この場所は、吉 野川近くの、宮滝遺跡西部で、末永氏が第一次調査で石敷き遺構を発見した所です。象山が真近に迫って見える場所で、石敷き遺構や石組溝が検出されている。平成27年度から行われている、ごく最近の調査では、宮殿級の大型掘立柱建物(間口9間×奥行5間=23.7m×9.6m)1棟と掘立て柱塀跡を検出しました。

第4期(9世紀〜10世紀) : 宇多上皇、菅原道真らと宮滝へ行幸。

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宮滝遺跡最大規模建物遺跡(平成29年度第69次調査)
赤いテープが大型建物跡
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右手に象山が迫る。吉野川がすぐそば。
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第一次調査石敷き遺構写真
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宮滝遺跡発掘調査地図
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持統朝頃の園地遺構復原(吉野資料館)
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