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第69回正倉院展 その3

伎楽面 酔胡従(すいこじゅう) 南倉
  酔胡従は酔っ払いを表す大型の伎楽面で赤い顔をし、長い鼻が突き出し天狗のような鼻をしている。展示物の中では伎楽面呉公などとともに目立つ場所にありました。

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碧地金銀箱(へきじきんぎんえのはこ) 中倉
 淡青色が一際目立つ箱で、この中に仏に対する供え物が収められていたようです。今回はカラフルな品物の出展が少ない中で、その綺麗さが目立っていました。
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最勝王経帙(さいしょうおうきょうのちつ) 中層
 写経生によって書き写された最勝王経を包む帙とよばれる織物です。
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第69回正倉院展 その2

槃龍背八角鏡(ばんりゅうはいのはっかくきょう)北倉

 径が31.7cmもある大形の白銅鏡で展示品の中では目立っていました。「国家珍宝帳」のリストに掲載されている聖武天皇遺愛の品とされています。外形が八弁を形どっており、八花鏡と称されます。真中に亀形の紐通し用の穴(鈕:ちゅう)があり、それを囲むように2頭の龍が絡み合っています。龍の上部には遠山や雲が配され、天空を飛翔する龍の姿が見えます。この鏡は鋳造品で中国・唐の舶載品と考えられています。 大形のガラスのケースに入った展示品の詳細な絵柄を見るためには、拡大鏡が必要です。

槃龍背八角鏡
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新聞記事
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金銅水瓶(こんどうすいびょう) 南倉
 金メッキの銅の水差しで、仏具として供用されたようです。一番下に高台が付き、胴体部は扁平な球形をしており、その側面から長さ約20cmの水の注ぎ口が緩やかな角度で出ています。先端の頭部はS字形のとさかをもつので、鳳凰ではないかと考えられています。広い受水口は細長い円筒状の胴体に溶接され、さらに扁平球体胴部にも接続されています。

金銅水瓶
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伎楽面 迦楼羅(かるら)南倉
 大形の伎楽面迦楼羅は今回修理が終わり、はじめて正倉院展に蔵出しが行われました。なかなか見ごたえのある乾漆の伎楽面でした。本品には鶏冠(とさか)があり、玉を銜えた尖った嘴(くちばし)を有する鳥貌をしているので、迦楼羅(かるら)の面と推定されるようです。古代インドの霊長ガルータに由来するそうです。

伎楽は聖徳太子が百済からきた味摩之に命じて、中国呉で学んだ伎楽を我が国の若者に習わせた仮面劇で、日本書紀推古20年の記事にあります。

新聞記事
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第69回正倉院展 その1

 第69回正倉院展(10月28日~11月23日)に行って来ました。行った日は平日の午後2時半頃で、雨で5分ほどの待ち時間で入場できました。

正倉院宝物は、756年に聖武天皇が亡くなって、その49日の法要に際して、光明皇后が天皇の遺愛品約650件を東大寺の大仏に奉納したのが始まりです。1260年前に光明皇后が奉納した宝物のおかげで、新しい宝物を購入することもなく、最初に納入された品物を約10年毎に入れ替え、出展することにより、多くの人たちを楽しませてくれています。

 今年の出展の目玉は第69回正倉院展宣伝チラシを飾る「羊木臈纈屏風(ひつじぎろうけちのびょうぶ)」や、緑瑠璃十二曲長杯(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)」などですが、展示物は全体的に大変地味でした。

羊木臈纈屏風(ひつじぎ ろうけちの びょうぶ) 第69回正倉院展宣伝チラシ

 木の下にペルシャ風の巻き角を有する羊がいる国産のろうけつ染めの屏風。中国新疆ウイグル自治区トルファンの織物によく似た羊の胴体の三角模様が描かれている。

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緑瑠璃十二曲長杯(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)」
 鮮やかな緑色のガラス製の杯で、口縁に12の曲線をもつ、大きな葉っぱの容器を連想させます。 長経22.5cm、短径10.7cm、高さ5cm。人だかりが一番多い展示物で、何重にもとりまき、前へ入るため時間がかかりました。 緑の色が透き通ってとても綺麗です。しかし、予想よりとても小さかったので、植物文様は確認できましたが、うさぎがうずくまる文様は確認できませんでした。この品物は11年前の第58回正倉院展の図録に掲載されていました。

緑瑠璃十二曲長杯
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底から見た写真
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第58回正倉院展図録
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漆槽箜篌(うるしそうのくご、たて琴の残闕)
(配布された読売新聞正倉院展特集号外より)
 ハープのルーツ。西アジアが起源。古代中国、朝鮮半島、日本で演奏された。明治に復元されたレプリカとともに展示されており、古代の弦楽器の音が聞こえてきました。残闕のみが残っています。

漆槽箜篌
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演奏方法
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第68回正倉院展

第68回正倉院展(2016年10月22日(土)~11月7日)に行って来ました。今年は金、土、日は夜8:00まで開館時間が延長されましたので、それを利用してゆっくりと見学しました。

今年の目玉は、国家珍宝帳に記されている聖武天皇の遺愛品である「漆胡瓶(しっこへい)」(ペルシャ風の水差し)です。
水差しの先は、鳥の嘴のようであり、把手は弓のような曲線になっています。下膨れの胴体は美しい球形の形状をしています。
黒い漆が塗られ、銀によって鹿や鳥や植物の絵が描かれています。ルイビトンのような色目がとても渋いです。
この水瓶は銀の文様の特長や銅の材質分析から、中国・唐からの将来品の可能性が高いようです。奈良時代、日本には唐から国際性豊かな文化を伝える宝物がもたらされていたことを伝える宝物です。


次に、奈良博物館正面の正倉院展のポスターには、磁漆胡瓶と並んで磁皿(じさら、二彩の碗)も掲載されていました。緑と白の二つの色がとても鮮やかに映えていました。

アンチモン塊(インゴット) 
 アンチモンの塊(インゴット)が展示されていました。富本銭や和同開珎にも使われていたようです。なお、和同開珎も多く展示されていました。



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第67回正倉院展 その4(最終)

第67回正倉院展は11月9日で終わりました。今年は昨年と比べてマニアックな小物の展示品が多かったように思います。 17日間で約22万人が入場されたようです。

彫石横笛【北倉】
 聖武天皇愛用の石(蛇紋岩)の横笛。七孔の横笛はインドに源流を持ち漢代に中国に伝わったようです。楕円形の吹き口と円形の指孔が七個穿っています。笛の胴体に草花、飛雲、山岳、花喰鳥、蝶などが刻んであります。

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彫石尺八【北倉】
 国家珍宝帳に記載されている石(蛇紋岩)の尺八です。前面5孔、背面1孔の指孔を穿っています。会場ではブオー、ブォーという音が鳴り響いていましたが、石の尺八なのであまりいい音色とは思えませんでした。中国唐二代目皇帝太宗のとき、発明家の呂才が考案したとされるたて笛です。笛の胴体に花弁、飛雲、山岳、花喰鳥、蝶などが刻んであります。

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伎楽面【南倉】
 師子の手綱を取る師子児または太孤児の面。原型の上に麻布を幾重にも貼り重ね、表面を木屎漆で形を作る乾漆作りの技法を用いています。この面の表情を見ると、なぜか立ち止まって長い時間、観察してしまいました。魅力的な表情をしていました。

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銀針【南倉】
長さ34.8cmもある針で、婦女の裁縫の上達を願って行われた、「乞巧奠(きっこうでん)」の儀式に使われたようです。

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粉地花形方几【中倉】
 仏前にお供え物を載せる台。台の足(華足)の色が鮮やかです。上から赤、青、紫、緑系の繧繝で彩色しており、そのグラデーションが美しい。

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紫檀木画箱【中倉】
 床脚を付けた長方形の木箱。心木は欅。各区画の木画を構成する素材は象牙、黒柿、カリン、ツゲ、錫である。各区画にはシタンの薄板を貼り、輪郭は象牙で界線を付しています。 正倉院の木箱の中でも特に精緻な木画で、近代的なデザインでさえある。
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金光明経「唐経」【聖語蔵】
  聖語蔵は元々は東大寺尊勝院の校倉造の経蔵であったが、経蔵の収蔵物であるお経もろとも、明治26年に東大寺から皇室へ献上されて、正倉院と同様に宮内庁管轄となっています。五千巻の経が収蔵されています。そのうち、唐経と呼ばれるお経が30種、221巻あります。金光明経は、本経を読誦・解説すれば、諸仏菩薩・諸善神の守護を受けると説き、特に四天王が国や国王を護ると述べる「四天王品」によって護国経典として重んじられました。

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根本説一切有部百一羯磨【聖語蔵】
 光明皇后が亡き父母(藤原不比等、県犬養橘三千代)のために書写させた「五月一日経」のうちの一巻。これは、玄昉が唐から持ってきたばかりの五千巻を底本として、天平八年(736年)皇后宮職の写経所で書写が始められました。巻尾に光明皇后の願文が書き加えられ、その日付けが五月一日であったため、「五月一日経」と呼ばれます。天平勝宝八歳(756年)まで、約20年間に7千巻写経しました。そのうち約750巻が聖語蔵に収蔵されています。日本史の貴重な資料です。

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以上で、第67回正倉院展の記事は終わります。正倉院展を見学された方が法隆寺夢殿の救世観音も拝顔して、その黄金に輝く仏像の姿に驚嘆しています。

追記:11月10日付奈良新聞に、高円宮妃久子さまが11月9日の最終日に正倉院展御観覧の記事が掲載されていました。
紫檀木画箱や琥珀魚形などをご覧になったようです。

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