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継体大王とヤマト その6

隅田八幡神社蔵人物画象鏡(国宝、和歌山県橋本市)

 隅田八幡神社に伝わる国宝人物画象鏡に48文字の銘文が記されています。銘文を解釈すると、仁賢大王のときの503年に、百済の武寧王が、ヤマトの意紫沙加(忍坂:オシサカ)宮で大王に即位する前の継体のために、この鏡を作ったという説が有力です。

継体大王は即位してから大和の磐余玉穂宮に入るまでに20年もかかったとされていますが、この銘文によれば、即位する前から大和の意紫沙加(現在、押阪の地名あり)に居住していたことになります。

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継体大王とヤマト その5

割塚古墳(大和郡山市指定史跡、6世紀前半築造) 

  大和郡山市千日町に所在する割塚古墳については本ブログでもすでに紹介していますが、富雄川流域に築かれた直径49mの円墳で、6世紀前半に築造された県下でも有数の大形円墳です。この古墳から出土した金の垂飾付耳飾りは、朝鮮半島の伽耶・新羅地域(陝河(ハブチョン)、昌寧(チャンニョン))からの搬入品と考えられ、朝鮮半島と密接な関係をもった被葬者像が想定されます。

<割塚古墳:南)
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<割塚古墳:西>
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橿原考古学研究所によって1958年に発掘調査が行われ、横穴式石室が検出され、刳抜式家形石棺が出土しました。出土遺物については、小島氏による概報で報告されていますが、現在橿原考古学研究所で整理作業が行われているそうです。正式の報告書が出されることを期待します。

今回、はじめて見る蔵出し資料も展示されていました。 展示のあったものを列挙します。

列品36-1:不明形象埴輪(山高帽子のような埴輪です)
列品36-2:不明形象埴輪(小さい穴が平面的に30個ほど空いている埴輪です)
列品36-3:捩り環頭(捩り環頭太刀を継体大王に関わる威信財とみる考えもあるそうです)
列品36-4:垂飾付耳飾2組
列品36-5:埋木製棗玉・切子玉
列品36-6:碧玉製管玉
列品36-7:ガラス製小玉
列品36-8:銀環
列品36-9:水晶製切子玉39個
列品36-10:獣首神獣鏡
列品36-11:f字形鏡板付轡
列品36-12:花弁形杏葉
列品36-13:鞍金具(磯金具)
列品36-14:ガラス製小玉

参考文献
1)小島俊次「割塚古墳の調査(概要)」 青陵14号、1969年
2)橿原考古学研究所附属博物館図録 「継体大王とヤマト」 平成27年度春季特別展、2015年4月18日



継体大王とヤマト その4

5.額田部氏(ぬかたべ)

  推古天皇は額田部皇女(ぬかたべのひめみこ)と呼ばれ、額田部氏と深い関わりがあると考えられています。額田部は現大和郡山市に所在し、佐保川と富雄川が大和川に合流する場所にあります。聖徳太子ゆかりの熊凝精舎の流れを汲む額安寺(額田寺)もすぐ近くにあります。

日本書紀によれば、額田部比羅夫(ぬかたべのひらふ)は608年に遣隋使小野妹子とともに来日した裴世清(はいせいせい)を桜井市の海石榴市(つばいち)に飾馬75匹を遣わして迎え、挨拶の言葉を述べたとあります。また、610年に新羅・任那の役人が都に到着したとき、額田部の比羅夫は新羅の客を迎える荘馬の長に命じられたという記事があります。

額田部氏は推古朝の外交を支えた氏族でした。額田部氏の氏寺は額田寺(現大和郡山市)であり、国宝「額田寺伽藍並び条里図」には伽藍・条里とともに古墳が描かれ、「舩墓額田宿祢先祖」は船墓古墳(全長40~50mの前方後円墳)にあたると考えられます。採集された円筒埴輪から6世紀前半の築造年代が考えられます。

8世紀に絵図は書かれましたが、6世紀前半代に築かれた船墓古墳という前方後円墳を自らの先祖の墓と認識していたことが重要です。

額田部丘陵と佐保川を挟んでその東側には古墳時代中期から後期にかけての古墳や集落遺跡などが濃密に分布します。とりわけ、これらの遺跡では朝鮮半島と関わる遺物が多く出土していて、渡来系集団との関わりが深いことが注目されます。この地の古墳に葬られた人々は推古朝の額田部氏と同様に継体大王の外交に手腕を発揮したに違いないと考えられます。

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額田部地域の古墳

額田部狐塚古墳

  国宝「額田寺伽藍並条里図」にも額田部狐塚古墳が描かれています。この古墳は大和郡山市の昭和工業団地を南北に貫く大和中央道の道路敷下部に埋もれており、古墳であると気づく人は、ほとんどいないと思われます。1966年に発掘調査が行われました。今回の展示で尾張系埴輪が出展され注目を集めています。出土品は半円方形帯二神三神獣鏡、尾張系埴輪、蓋形埴輪が出土しています。後円部から2基の組合木棺が検出されました。銅鏡のほか銀製耳環、挂甲、鉄刀、馬具、碧玉製管玉、などが出土しています。

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星塚2号墳

  天理市二階堂上之庄町に所在する全長41mの帆立貝式古墳です。共同墓地造成にともない1952年に横穴式石室が調査されました。組合せ式家形石棺の底部が残っていました。今回の展示で金銅製の垂飾付耳飾、水晶製三輪玉、瑠璃性管玉、ガラス製勾玉、ガラス製小玉、金箔貼ガラス小玉などが出展されています。また、金象嵌円頭柄頭も展示されています。さらに注目すべきは百済・馬韓系の陶質土器、長足文土器が展示されており、継体大王の外交に関わった人の古墳でないかとも考えられています。

水晶塚古墳

  水晶塚古墳は星塚2号墳の西2kmの大和郡山市八条町に所在する古墳で京奈和自動車道に伴う調査で発見された古墳です。レーダ探査などにより、二重周濠をもつ全長50m程度の帆立貝式古墳であると推定されています。築造年代は6世紀前半です。木製立物、鉄製品、阿蘇溶結凝灰岩(氷川石)などが出土しています。奈良市の菅原東埴輪窯から供給された埴輪が出土しており、墳丘の形、築造年代、出土品など星塚2号墳と共通点が多い。継体大王の外交を支えた人物の墓だと推定されます。

継体大王とヤマト その3

4.継体大王の陵

 日本書紀によれば継体大王は531年(継体25年春2月)磐余玉穂宮で82歳で没し、冬12月5日、藍野陵(摂津国三島郡藍野)に葬ったとあります。宮内庁は太田茶臼山古墳に治定していますが、年代が合致せず、今城塚古墳(現高槻市)が継体大王陵であると考える人がほとんどです。

 今城塚古墳から大王墓の埴輪群像とでも言うべき大量の家形埴輪や人物埴輪が出土し、復元され墳丘に並べられています。その中に両手をあげる巫女とおぼしき埴輪があり今回のポスターの表紙に飾られています。埴輪は首長継承儀礼をあらわしたものであるとか、色々な説が出されています。

<第2回研究講座>
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埴輪群と区画
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埴輪復元
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家形埴輪
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鳥形埴輪
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3種類の石棺
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5.継体大王と尾張系埴輪
 手白香皇女より以前に継体大王の妃であった目子媛は尾張連草香(おわりのむらじくさか)の娘で安閑、宣化大王の母です。濃尾平野の熱田台地上に東海地方最大の断夫山古墳があり、継体大王と尾張氏の関連が注目されます。

<赤塚次郎氏>
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 今回の展示でヤマトの地域である、大和郡山市の額田部狐塚古墳から尾張系埴輪が出土していることが明らかになり
大変注目されます。


継体大王とヤマト その2

日本書紀の描く継体大王

日本書紀によれば、武烈が大和の泊瀬列城宮(はつせなみつきのみや)で亡くなったあと跡継ぎがいなかったので、大伴金村らが越前三国に住む応神の五世孫の男大迹王(おおどおう)を迎えに行き、河内の樟葉の宮で継体として即位しました。その後、継体が大和の玉穂宮に入るのに20年もの年月を要しました。

1.継体の出生
  父:彦主人王(ひこうしおう) 母:振媛(ふるひめ)(垂仁の七世の孫)。父は近江国高島郡にいたとき、振媛を三国坂井県(越前国坂井郡)より呼び寄せ、娶って生まれたのが継体です。父はまもなく亡くなり、継体は振媛の実家の越前国坂井郡高向で育てられました。

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2.宮の変遷

 507年: 継体は河内の樟葉宮(くずはのみや)(現枚方市)で即位(58歳)。
 511年: 山背・筒城(現京都府京田辺市)に遷都。
 518年: 山背・弟国(現京都府長岡京市)に遷都。
 526年: 大和・磐余玉穂宮(現桜井市)に遷都(78歳)。
 531年: 崩御(82歳)。(534年説有)。

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3.継体大王の妃

  王后:手白香皇女(たしらかひめみこ)、仁賢の皇女、欽明の母
  目子媛(めのこひめ):尾張連草香の娘、安閑・宣化の母
  全部で8人妃がいました。

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